2014年11月4日火曜日

お客様満足度を高める故障修理対応(障害対応)時のポイントとは ~状況把握のための3つの視点~


いざ故障が発生した時に、サービスエンジニアの対応を通して、「この会社にお願いしていて良かった」となるか、「いざというときにこんなレベルの対応では、この先継続的に依頼するのは考えものだ」となるかで、会社の信用・業績に大きな差が生まれます。

当然、その重要性を認識して多くの会社が
  1. CSアンケート結果の分析
  2. クレームが発生した場合の要因分析
  3. 営業担当者からのフィードバック
などをふまえて、「もっとこうしよう」という改善・向上策を次々打ち出しています。様々な取り組みを見てきた中で、お客様満足度を高める上で私が特に重要と考える顧客対応のポイントは、「修理作業に取りかかる前のプロセス(=状況把握)を徹底すること」です。


もちろん、「うちは事前ヒアリングをしっかり行うよう指導している」という方もいらっしゃるでしょう。しかし、実態は「お客様に機器の状況(症状)をよく聞いて対応するように」という内容の指導で終わっているケースが多々あります。また、サービスエンジニアも「お客様も早く直して欲しいと思っているから、あまり時間をかけてヒアリングするわけにはいかない。とりあえず修理に必要なこれとこれは聞いたから、あとは間違いなくやればいい。」と考え、ヒアリングしたつもりになっていることがよくあります。しかし、そのような一面的な、あるいは表面的なヒアリングで、わかったつもりになって対応してしまうことで、最終的にどんなにエンジニアの腕(専門スキル)を駆使して努力をしても、お客様のご要望に合わず“満足”につながらないケースが多々あるのです。“物事は最初が肝心”と言われるように、修理作業に取りかかる前の「事前のヒアリング」では、お客様がサービスエンジニアに、主に「何を・いつまでに・どのようにする」ことを求めているかという“対応課題”を的確に把握することが何より重要です。では、どうすれば効果的・効率的に対応課題を的確に把握できるのでしょうか。


今回は、「以下の3つの視点をふまえた状況把握のための質問の仕方」を研究・徹底することをお勧めします。それによって、短時間でも的確にお客様が求める“対応課題”を正しく掴み、結果的に効果的・効率的にサービスを提供することが可能になります。
状況把握の第1の視点は、当然のことですが「機器の状況」を把握するための質問です。これは、表面的な状況にとどまらず、その背後にある故障原因を探る質問です。現実には専門技術のレベル・経験で大きく差が出る項目です。必然的にエンジニア全体の対応力を高めたい場合は、多くの企業ですでに取り組まれているように、マニュアルを整備し、OJTにより徹底することが望まれます。
第2の視点は、機器の障害による「お客様の業務影響」を把握するための質問です。お客様が障害によって一番困っているのは、機器が使えない結果としての業務影響です。例えば、「納期遅れでお客様の先のお客様に迷惑をかけている(信用問題)」「業務ができず、直っても今夜は遅くまで残業だ(社員の負担・残業代の発生)」「業務担当者として保守の責任を問われる(担当者の立場の問題)」等々です。それをしっかり汲みとった上で対応するかどうかは満足度にかなり影響を与えます。
第3の視点は、「対応に関するご要望」を把握するための質問です。お客様は、「ただ早く直してほしい」というだけではなく、「今回は修理が終わったら部長に説明してほしい」等々、個別のご要望がいろいろあるはずです。このご要望が汲み取れなければ、的外れなサービスとなってしまします。要するに、満足度の高い対応を実現するためには、対応作業の前に、お客様の立場に立って「機器の状況」だけではなく、「業務影響」と「ご要望」をこちらから聞き出し、そのうえで的確に課題(対応すべきこと)を把握することです。

なお、この三つの視点は頭で理解できても、実践することは難しく、とっさの状況でもスムーズにできるよう普段から質問スキルを高めことが求められます。従って、実践的なケースを作り、質問練習を繰り返し行うことをお勧めします。



【状況把握のための3つの視点】


 

【プロフィール】

井上 照志(いのうえ てるし)
株式会社サービスデザイン研究所 取締役
サービス革新支援コンサルタント
出身地:愛媛県八幡浜市 
現住所:東京都江戸川区西小岩
経歴:東京経済大学 経営学部
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サービスデザイン研究所(Service Design Institute)
ホームページ:http://sdi.ecnet.jp/
サービスエンジニア研修に関する詳細はこちら
Facebookページ:http://p.tl/7ZpR


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